伊勢志摩百物語~名木・奇樹を訪ねる~
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- 16 - 大おお淀よど小学校と松業寺に隣接し、港を眺めるこの松の名は業なり平ひら松。 かち人の 渡れど 濡れぬえにしあれば(斎王、恬子内親王)  又あふ坂の関は越えなむ(在原業平)  斎宮寮の入り江は徒歩で歩いて渡っても裾が濡れないほど浅いのでまた逢坂の関を越えて都に帰る際に再び会いましょう。と『伊勢物語』「狩の使」段にありますが、業平松の下でこの歌を詠み交したとされます。  別れを惜しみつつ、再会を祈願する歌――。斎王は神様に奉仕する身であることから恋愛を禁じられ、美男子在原業平と出会っても、やはり正式に恋愛をするわけにはいかなかったのでした。  自由恋愛が一般的でなかった時代に、理由は異なるがこの境遇にいたく共感した人々が少なくなかったことは想像に難く神に奉仕する身。それ故に諦めなければならなかった恋。 悲しい別れと再会への淡い期待を、二人はここで和歌に詠んだのでしょうか。8.業平松 (多気郡明和町大淀)何代目かの業平松

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