伊勢志摩百物語~名木・奇樹を訪ねる~
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- 4 - 連れん理り木という言葉を聞いたことがあるでしょうか。2本の樹木の枝、あるいは1本の樹木の一旦分かれた枝が再び癒着結合したものをこの様に表現します。『続日本紀』巻3、慶雲元(704)年の6月の記事に「阿波の国より木連理を献ず」と見えており、古くから祥しょう瑞ずい(よいことの兆し)とされたことがわかります。また唐の詩人である白楽天が「長恨歌」の中で「天にあっては願わくは比翼の鳥となり、地にあっては願わくは連理の枝となりましょう」と永遠の愛を表現したことから「縁結び」や「夫婦和合」の象徴として考えられるようになり、時には信仰の対象になることもあります。珍しいかたちでは、違う品種同士で連理となる場合もあります。 この様な連理になった杉が、皇學館大学のロータリー付近に生えています。樹齢はまだまだ若い幹ですが、官立としての神宮皇學館から戦後の廃校、そこからの再興を経て、現在に至る紆余曲折の中で何時の頃からか、その祥瑞を示し、ここまで皇學館を取り囲む種々の木々、その中にひっそりと吉祥の兆しをあらわしています。2.倉田山の連理杉 (伊勢市神田久志本町)願いごとをしたくなります

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