伊勢志摩百物語~知られざる小さな滝を訪ねて~
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- 6 - 『宇治山田市史』の名勝旧蹟の項目に彦ヶ滝と呼ばれる滝が取り上げられています。島路川の渓流沿いにあり、『新都名勝誌』の磯部朝熊道の部分に「彦瀧、鳴瀧、俎石、三方石、鮎留石等ありて、山水頗清美なり」と記されています。また『伊勢参宮名所図会』にも杉坂の紹介の中に「彦が瀧と云う高さ一丈ばかりなるあり、瀧つぼ甚深し。」とあり、その大きく美しいことを思い描かせてくれます。 この彦ヶ滝ですが、先に掲げた『市史』の名勝旧蹟の項目の続きに面白いエピソードがありました。「古来旱かん魃ばつの時には此處に雨乞をする例があったが、之について宇治の布屋太夫と云ふ長者の一人娘が瀧壺の大蛇に取られ、その謝禮として雨乞の霊験を見せてやるとの約束を得たなど云ふ傳説が残って居る」というものです。詳しくは同書の傳説を纏めたところに記されています。娘が取られたという話は載っていませんでしたが、同様の伝承は『名勝誌』にも「旱かん魃ばつの時は、近村の大蛇の住まう秘境の滝3.館町の彦ヶ滝 (伊勢市宇治館町)朝熊岳登山道途中にある滝Hiko-ga-taki in Ujitachi-cho(Ise city)However, the secret waterfall is prohibited due to the large snakes that inhabit the area.

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