伊勢志摩百物語~渚・港を歩き憩う~
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- 8 - 神社港は「かみやしろこう」と言い、港の名前がそのまま町名になっています。かつて神宮へ奉納品を諸国から運ぶ廻船や、船参宮客で栄えた港町です。人口は現在約1200人。今日では、ほぼ住宅地になっていますが、往時の繁栄を思わせる街並みも残っています。勢田川と五十鈴川の交じり合う所にある港に、なぜ神社(かみやしろ)という名前がついたのかご存知でしょうか?それは神社港地区内に鎮座する御み食け神社に由来しています。御食神社は、食を司る神様である豊受大神の祀られる豊受大神宮(外宮)の摂社で、神社港口から御料を調進する御饌の神様とされる水戸饗都神(みなとのみけつかみ)を御祭神としています。水戸は、水の入り込んだ港を意味しており、境内には「辰の井」という井戸があります。『倭姫命世紀』によれば、鷲取老翁(わしとりのおきな)が倭姫命に奉った清水に由来神都の2大商港の一つであった神社港は、港から港へ荷物を運ぶ人、神宮の参詣者、この港に来たお客さんをもてなす人など、たくさんの人でにぎわっていました。今でも当時の繁栄を感じさせる古い街並みが存しています。4.神社港 (伊勢市神社港)神社港の船溜まり

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