伊勢志摩百物語~渚・港を歩き憩う~
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- 22 - 相賀浦は志摩半島の南部、熊野灘に面する五ヶ所湾の西側に位置しています。 五ヶ所湾は楓の葉のように幾重にも入り組んだリアスの海岸線をなしていて、別名「楓ふう江こう湾わん」と呼ばれています。その湾の一角に突き出した止り鼻という岬と、黒崎という岬に挟まれた所に一風変わった入江があります。相おお賀か庭にわ浜です。家の庭先という意味の大きな浜です。陸りく繋けい砂さ州すが形成されてできた地形で、弧状に伸びた礫れきの浜には波が寄せたり引いたりすることで、堆積と侵食を繰り返し、ビーチカスプと呼ばれる美しい模様を描き出しています。海を隔てた砂州と山々との間には、海跡湖の大お池いけがあります。海跡湖は遙か昔に陸に進んできた海がやがて退いて残されてできた、元々海だったものが湖になったもののことをいいます。砂州の南端には、庭浜に住む人々を育んできた山、産うぶ土すな山やまがあります。この山のおかげで、真水を得ることができたようです。その背後には雄大な山志摩路の道をさらに西へと、迫間トンネルを抜けた先には、弓なりの渚。寄せては返す波によってつくられた佇まいは、天橋立のようです。11.相賀浦 (南伊勢町)天橋立のような相賀庭浜

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