伊勢志摩百物語~渚・港を歩き憩う~
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- 24 - 奈屋浦は南伊勢町にある一漁村です。古くから神宮との関係が文献史料に出てくる贄浦、東宮が隣接しておりますが、それらに比べて古くからある地名とはいえません。しかし、『南島町史』には「奈屋浦の起源については招聘説(河村文書)来住説(漁協文書)それに漂着説(土地の伝承)=何れも仮称=の三通りあるが、集落発生のそもそもの年代や理由がこんなにはっきりしている所は珍しい。」と紹介されており、この場所の魅力・特質が示されています。 また奈屋浦西岸の丘陵端にあるアララ遺跡では、縄文時代中期~後期にかけての土器が出土しています。さらにこの遺跡は山崩れによって埋没した縄文遺跡の上に弥生遺跡がある遺跡で、考古学の方面から熊野灘沿岸の縄文~弥生の遺跡として注目されています。 奈屋浦という名称は『勢陽雑記』[明暦2年(1656)]や『勢陽五鈴遺響』[天保4年(1833)]などに出てきており、江苦難を乗り越え、穏やかな場所を手にした不思議な漁港、奈屋浦。漁港には多くの船が係留される12.奈屋浦漁港 (南伊勢町)

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