伊勢志摩百物語~渚・港を歩き憩う~
4/32

- 2 - 湊(港)は川や海などの出入り口を意味する「水の門(みのと)」が転じたもの。伊勢を流れる宮川、五十鈴川、勢田川が伊勢湾に注ぐ河口に位置する大湊は、まさしく「水の門」として、歴史を刻んできました。 国道23号線の新開北交差点から県道748号線を入り、湊橋を渡れば、大湊です。湊橋から左手の川岸に見えるこんもりとした森は、外宮末社の志し宝ほ屋や神社。塩業・海路守護の神、鹽しおつちのおじ土老翁をまつります。古くは遠浅のデルタ地帯に適した製塩業が盛んでした。 集落の中を抜け、伊勢湾に面した大湊海岸へ出ます。堤防道路が整備され、散歩をする人が見えます。海岸の松林は製塩に使用した燃料の名残でしょうか。この海岸は、「鷲の浜」と呼ばれます。倭姫命の巡幸の際、鷲わしとりの取老おきな翁が忘井の清水を差し上げた伝承に由来します。「御木曳」などで着用する大湊の半被の「鷲」の字は、この鷲取からきています。伊勢神宮の外港として栄え、造営用材の神宮貯木場もありました。伊勢の「水の門」の歴史が刻まれます。1.大湊海岸 (伊勢市大湊町)伊勢湾に面した大湊海岸。漂着物が浜に多く残る

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る