丹生(にう)

◆伊勢志摩を歩く:87ページ
◆解説:「丹(に)」とは水銀と硫黄の化合物で、朱色をしているため、朱砂(しゅしゃ、すさ)ともいわれる。これの生産地が「丹生(にう)」で、全国にこの地名がある。
多気町(たきちょう)の丹生は古代から知られ、東大寺の大仏鋳造にも用いられた。用途は水銀を仏像や仏具の金メッキのための触媒とするためであった。
また、時代が下ると水銀精製の過程で生じる「はらや」が製造され、これが「伊勢白粉(いせおしろい)」として知られるようになる。伊勢白粉は御師(おんし)によって全国に伊勢土産としてもたらされた。
有力商人も登場し、その財源はのちの三井財閥の基礎になったとも考えられている。鉱脈が尽きてからは木綿が松坂商人の主要商品となった。

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