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第一回皇學館大學人文學會大会の開催


 平成二十年十二月二十一日(日)、学会創立四十周年を記念して、第一回皇學館大學人文學會大会が開催された。伊勢学舎四三一教室を会場に、のべ100名近い来場者があり、無事終了した。

 皇學館大學人文學會は、機関誌『皇學館論叢』の刊行を主な活動とし、加えて平成六年度からは研究例会の開催、人文學會奨励賞の授与を実施している。今回満四十周年を迎えるに際して、委員会では岡田登委員長を中心に、学会のさらなる発展を期して大会を開催することを企画し、実現に至ったものである。

 当日は、岡田委員長による総合司会のもと進められた。午前九時より開会、はじめに清水潔会長より挨拶があり、学会の歩みと現状が述べられた。引き続いて四名による研究発表(1.山口剛史氏「大嘗祭と摂関家」 < 座長・加茂正典委員 > 、2.前田雅代氏「六家集における並列表現」 < 座長・松下道信委員 > 、3.久野潤氏「第一次近衛内閣期における「東亜協同体」論─蝋山政道を中心に」 < 座長・上野秀治委員 > 、昼食を挟んで、4.松村謙一氏「多文化共生社会に向けての社会科教育に関する一考察」 < 座長・中村哲夫委員 > 。本誌前号に発表要旨掲載)。いずれも若い研究者や学究による意欲的な発表であり、また質疑応答も活発に行われた。


清水潔会長の挨拶

  午後二時からは総会を開催、本澤雅史氏を議長に選出し、1.四十周年記念事業、2.規約の改定(新しい規約については本誌の表表紙の裏に掲載)、3.学外委員(毛利正守・高橋美由紀・堀井純二・白江恒夫・平泉隆房の五氏を選出、二十一年四月より)、4.事務局員の設置、5.人文學會の来し方、について報告がなされた。

 午後二時半からは皇學館大学教授・渡辺寛先生による記念講演「皇學の府の成立と展開 ─皇學館・神宮皇學館・神宮皇學館大學・皇學館大學の来歴─」。皇學館創立より現在に至るその来歴を述べられ、そして皇學館において「皇學」の概念がどのように捉えられていたかを明らかにされた。続いて三時五十分より大阪市立大学名誉教授・武庫川女子大学教授の毛利正守先生による記念講演「難波宮・紫香楽宮歌木簡と万葉歌における書記の在りよう」。近年各地で発見が続き注目を集めている歌木簡を紹介され、これらが生活の場から離れた歌集では漢詩風に表記されるのとは違って万葉仮名で表記されていることなど、その表記の在り方を論じられた。本会設立当時に大学助手として本会運営の実務にあたってこられたお二人による、学問はいかにあるべきかを考えるに際して示唆に富むご講演で、本会四十年の節目として誠に意義深いものであったと思われる。非常に有益な時間を頂戴できたことに感謝し、お二人の先生に改めて御礼申し上げます。


渡辺寛先生のご講演

毛利正守先生のご講演

 記念講演終了後には、会場を伊勢パールピアホテルに移して懇親会が催された。清水会長より挨拶の後、参加者一同大いに親睦を深め、散会となった。 なお、第二回大会は、二十一年七月上旬を予定し、現在日程を調整中である。詳細が決まり次第、改めてご案内申し上げますので、是非ご参加ください。

(文責・大平和典)
『皇學館論叢』第42巻第一号より転載

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