わたしたちは、家で飼っている犬や猫が「うれしそうにしている」と感じることがあります。また、彼らが人間ではないとわかっているのに、一緒にいるだけで癒やされることもあります。
癒やしてくれるのは動物だけではありません。小さい頃、お気に入りのぬいぐるみを抱きかかえていると安心したり、学校でいやなことがあったとき、ぬいぐるみに「話をきいてもらった」経験はないでしょうか?
犬や猫とは言葉は通じません。ぬいぐるみは人間でも動物でもありません。しかしわたしたちは、彼らの柔らかさ、しぐさ、声、表情などの情報から「心」を感じることができます。心は相手の「ナカ」にあるのではなくて、私と相手の「アイダ」にあるのかもしれません。
「心はバラ色」という表現がありますが、バラ色の心を見たことはありますか?
「気が重くなる」という表現がありますが、心の重さを測ることは可能でしょうか?
心は色、形、重さをもった「モノ」ではありません。したがって、いくら脳や心臓の奥底をのぞいてみても見つけることはできません。心は、人と人、人と動物、人とぬいぐるみが出会い、関わり合ったときに生まれる「できごと」なのかもしれません。
教えていただいた先生
文学部 コミュニケーション学科
教授 芳賀 康朗 先生
「あなたは『人間の心』や『心理学』と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?大学で学び、研究する心理学が、必ずしもあなたの想像通りとは限りません。心理学とは学問であり、科学です。事実を丹念に見つめながら、確実に知識を積み上げていくのが大学で学ぶ心理学の特徴です。もちろん、親子関係、友人関係などの問題も扱いますが、それだけではなく、実験やデータの分析なども交えて学んでいくことを知っておいてください。」