百科事典
第一に引くべきは、百科事典である。どのようなテーマであっても、百科事典は、想像以上に多くの情報を与えてくれる。現在(平成17年)、日本の人文科学研究に有用な百科事典としては、次の二種がある。 いずれもCD−ROM版がある。冊子版だと35巻(大百科)、26巻(百科全書)という大部なものが、たった一枚のCD−ROMに収まっている。また、価格も数分の一である。ただし、世界大百科事典はWindows版しかない。日本大百科全書には、Windows版とMac版とがある。
冊子版に比べて、CD−ROM版は、検索の容易性、網羅性において優位にある。特に、その「全文検索」機能が有効である。「見出し検索」機能もあるが、必ず「全文検索」を試してみるべきである。 たとえば世界大百科事典で「百人一首」という語を「全文検索」にかけてみると、56件の項目が見つかる。 「蝉丸」などの歌人が出てくるのは当然のことであるが、中には「投扇興」などという項目も出てきて、意外な発見がある。 「投扇興」の記事というのは、次のようなものである。詳細は、実際にCD−ROM版「世界大百科事典」で確認してみてほしい。 木製の台の上に,穴あき銭12個を金紙,銀紙に包んで水引で結び蝶の形に仕上げた的を置き,台から1〜2m離れたところに座り,開いた扇の要(かなめ)を親指を上にしてつまみ,ねらいを定めて投げ,台から的を落とす。落ちた的と扇がどんな位置にあるかによって,百人一首にちなんだ〈筑羽根〉〈雲がくれ〉など18の名称と点数が決まっている。12投して合計点を競う。のちに《源氏物語》五十四帖にちなんだ54の名称と点数に改められ,たとえば,的と扇が離れて落ちると〈花ちる里〉で無点,的が落ちて立ち,扇が台上にのると〈桐壺〉で75点というようになった。 |
なお、WWW上で、世界大百科事典を使えるサービス「ネットで百科@Home」(有料)がある。
国文学研究(広く言えば、日本にかかわる人文科学研究)に有用な辞典で、大部なものが2点デジタル化されている。
『角川古語大辞典』の方は、特に用例全文検索が有用。見出し語となっていない語の意味も、この用例をいくつか見比べているうちに、わかってくることがある。 また、ことばの続き方の例を探すのにも便利。 古典の注釈などするときには、必需品ではなかろうか。
←目次へ |