どこの大学図書館でも、学術雑誌すべてを収蔵しているということはあり得ない。自分の所属する大学の図書館で可能な限り入手したら、次は、他大学の図書館で入手することを考えなければならない。 必要な学術雑誌がどこの大学図書館に所蔵されているかを調べる時には、『学術雑誌総合目録』を使う。これは、雑誌が五十音順に並べられていて、その雑誌が収蔵されている大学図書館名を調べることができる目録である。それぞれの図書館で、何号から何号までが収められているかという情報も掲載されている。 これの電脳版が「Webcat」である。 必要な雑誌がどの大学図書館に収蔵されているか調べたら、必要な雑誌がなるべく多く収められている大学図書館へ行って、コピーをとってくる。
国立国会図書館には原則的に発行されたすべての雑誌が収められているはずだから、どこでも入手できなかった場合には、最終的にここに行くことになる。ただし、これは最後の手段としておいた方がよかろう。
国文学研究資料館には、国文学関係の雑誌がほとんど完備している。特に、ここ二十年くらいのものについては、国会図書館以上に揃っている。 しかも、所属する大学図書館から、コピーの郵送を依頼できる。ただし、依頼してから入手するまで、かなりの時間がかかることは覚悟しておかねばならない。場合によっては数ヶ月かかることもある。したがって、他の大学図書館などで入手できるものは、そちらで入手することにして、どうしても入手しにくいものだけを依頼すべきである。
学術雑誌は、各大学図書館に所蔵され、国文学研究資料館にもほぼ完備されている。 しかし、学術的ではない、読み捨ての雑誌は、これらの図書館には収められていない。週刊誌、漫画雑誌などについては、創刊以来すべてを揃えている機関はほとんどない。刊行当時はあちらこちらにあふれかえっていて、しかも、内容は高級ではない。取っておこうとしても、量がかさばる。だから、誰も所蔵していないのである。しかし、時間が経つと、これがたいへんな価値を有してくる。その記事が、刊行当時の「生(なま)」の資料となるのである。 このような雑誌を唯一、系統的・網羅的に蒐集し、しかも、精細な索引を作成して、検索ができるようにしている機関がある。「大宅壮一文庫」である。これは、近・現代文学研究には、非常に役立つ。
閲覧に行くことのできる範囲の図書館に所蔵されていない場合、あるいは特殊な同人誌などの場合、直接発行所に雑誌そのものを頒布してもらうという方法がある。発行所に手紙を書く、あるいは電話するなどして、その可否や条件を尋ねてみるのがよい。発行所の住所・電話番号などは、『国文学年鑑』の「収載雑誌紀要一覧」に掲載されている。
各年度毎に、論文を再録した資料集が発行されている。『国語学論説資料』『国文学年次別論文集』(朋文出版)などである。これらは、その年度に公表された論文が網羅されているわけではないが、紀要や各大学の学会誌に掲載されたうちの何割かが収録されている。ただし、その収載基準は必ずしも明らかではない。『国文学年次別論文集』は、上代・中古・中世・近世・近代と、時代別にまとめられている。 また、研究動向に大きな影響を及ぼしたような論文ばかりを集めた資料集の叢書がある。「日本文学研究資料叢書」「日本文学研究資料新集」(有精堂)、「日本文学研究大成」(国書刊行会)などである。これらには、解説も付されていて、収載された論文の研究史上の位置づけもなされている。研究史の確認の意味でも、一度は必ず目を通しておきたい。 ←目次へ |