デジタルテキスト



 近年、文学作品の電子化は盛んにおこなわれるようになってきた。
 そうした電子化された作品の本文を、ここでは「デジタルテキスト」と呼ぶ。


デジタルテキストのメリット

 デジタルテキストのメリットは、まず、パソコンで直接扱い得るものという、その点にあるだろう。
 ワープロを打ちながら、冊子版の本文を参照するというのは、案外やりにくいものである。
 デジタルテキストならば、ワープロなりテキストエディタで考えを練ったり、文章を書いている最中に、作品をじかに参照することができる。

 もう一つの、そして最大のメリットは、「テキスト」を「データ」として扱いやすいという点にある。
 文学作品というのは、研究のある段階では、それを断片化して、「データ」として見る必要があるように思われる。「必要」というのが言い過ぎならば、その方が研究に「効果的である」と言ってもよい。
 もちろん、最終的には、それをひとつながりの「テキスト」として読まなければ完結しないものである。したがって、文学研究というのは、最後には「本」に帰っていかなければならないと考える。
 しかし、作品を「データ」として眺めることは、研究の上では、確かに効果的なのである。


入手方法

 デジタルテキストは、主として、次の3種類の方法によって入手することができる。

  1. 自分で入力する。
  2. 市販のCD-ROM版を購入する。
  3. インターネット上で公開されているものをダウンロードする。

テキストの形式

 一口に「デジタルテキスト」と言っても、その形式は千差万別である。

  市販されているCD-ROM版などは、さまざまな意味でよく考えられたテキスト形式で提供されているはずだから、それほど問題にはならないが、その他の場合は、その形式をよく理解した上で利用しないと、おかしなことになりかねない。
 デジタルテキストを利用するメリットの一つに、用例の検索が簡単にできるということがある。しかし、その場合などは特に、自分の利用しているテキストの形式・内容を理解しておかないと、重大な失敗を犯しかねない。
 デジタルテキストの形式がもたらす問題点を理解しておきたい。


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