史料編纂所研究開発
沿革
昭和50年2月に国史学科附設の研究機関として発足した史料編纂室が母体となり、同53年4月大学附置研究所に昇格。その際、「史料編纂所」と改称し、機構も拡充・整備され、平成20年には創設30周年を迎え、同25年4月からは附置研究機関の改編により、研究開発推進センター史料編纂所と改称しました。
目的及び事業内容
皇學館大学はわが国の歴史と伝統に根ざした学問を明らかにすることを学問的使命としてきましたが、史料編纂所でもその精神にのっとり、特にわが国の歴史と文化を究明するため、これに必要な史料の蒐集・研究及び編纂を行ない、学界の発展興隆に寄与することを目的としています。史料編纂所が現在行っている事業の内容は、次のとおりです。
- 史料の蒐集・編纂
- 研究成果の発表及び刊行
- 研究会・公開講座・講演会・古文書セミナー・史料展の開催
- 内外の研究機関との交流、及び研究生の受け入れ
研究組織
現在は、以下の4つの部門で、それぞれ次のような事業を進めています。
部門別研究
第1部門 六国史編年史料 編年史料集の編纂・刊行
本編纂所では、その前身である文学部附属の史料編纂室の時代から『日本書紀』や『續日本紀』をもとにした六国史時代の編年史料集の作成を目指してきました。すでに、その成果として、奈良時代の史・資料を網羅した『續日本紀史料』全20巻22冊(文武天皇元年〈697〉~延暦10年〈791〉)を刊行。
第2部門 神宮史料 神宮史料の編纂
神宮に関する史料については、神宮文庫をはじめとして各地に、未公開・未刊行の神宮関係文書や御師関係文書が数多く存在しています。第2部門では、こうした未刊行史料の調査や収集に力をいれ、それを『神宮御師資料』(既刊8冊)などのかたちで刊行し、現在もその収集・編纂の作業を進めています。
第3部門 明治史料 香川家文書の整理・編纂
明治期に宮中で重きをなした香川敬三関係の文書(約25,000点)は、おもに明治の宮中の動向を知るうえで、きわめて貴重な史料であるが、これらは、いずれも未公開のまま香川家に秘蔵されてきました。昭和57年に史料編纂所がその借用を許可され、以降平成30年まで編纂所でその整理を進めました(現在は、学習院文学史料館に移管)。その成果として『香川敬三履歴史料』『図録・香川敬三関係資料の世界』を刊行していますが、最終的には「香川家文書目録」の作成を目指しています。
第4部門 考古資料 鈴木敏雄氏遺稿旧蔵資料の整理・編纂
三重県下の考古学の発展に大きく貢献した鈴木敏雄氏の遺稿・旧蔵資料(約3万点)が、昭和60年以降4回にわたり本編纂所へ遺族の手によって寄贈されたのを機会に、史料編纂所では、特に考古部門を設け、その整理にあたっています。すでに『鈴木敏雄氏遺稿・旧蔵資料目録』(正・続2冊)を刊行するとともに、貴重な資料については、随時所員が学内誌等で紹介しています。
刊行物
- 『史料』
昭和53年6月創刊(平成22年より、年4回発行)。平成26年3月発行の241号をもって終刊。1~100号までを平成4年に、101~150号までを平成10年に合本復刻。
- 『續日本紀史料』全20巻22冊、皇學館大学出版部
- 『資料叢書』第1~10輯、皇學館大学出版部
- 『創設十周年記念皇學館大學史料編纂所論集』
編纂所の創設10周年を記念して、現所員・旧所員・研究嘱託15名が論文を寄稿。
- 『公卿補任年紀編年索引』文武天皇元年~延暦10年
- 『東大寺要録編年索引』
- 『鈴木敏雄氏遺稿・旧蔵資料目録』『鈴木敏雄氏遺稿・旧蔵資料目録―ガラス乾板目録・正続索引―』続編
- 『香川敬三履歴史料』
- 『増補桃垣葉』、皇學館大学出版部
- 『福富家文書』
本編纂所に寄贈を受けた山城国淀藩稲葉家の家臣である福富家に伝来した文書。鎌倉末写の「北条系図・大友系図」「大友宗麟書状」「豊臣秀吉朱印状」「徳川家康御内書」ほかを写真版・翻刻・解説を附して収める。
(平成19年12月、皇學館大学出版部、B5版、92頁、2,800円<税抜>) - 『図録・香川敬三関係史料の世界』、皇學館大学出版部
所蔵図書・史料
国史学関係の図書・史料・調査報告・学術雑誌を中心に、約2万冊の蔵書を有します。特に、史料編纂所独自の所蔵図書及び史料としては、正倉院文書写真版の大日本古文書対応編年整理版、六国史や律令格式の古写本の写真版ないしはマイクロフィルム、「福富家文書」・「外宮御師福島御塩焼大夫文書」・「鈴木敏雄氏遺稿・旧蔵資料」・「北岡四郎氏旧蔵文書」(志摩国関係近世文書)・「常勝寺文書」(山田上中之郷町〈現、伊勢市常盤町〉に明治2年まで存在した寺院関係の近世以降の文書・絵図など)・「石村吉甫氏旧蔵資料」(神祇関係典籍類)・「佐野大和氏旧蔵図書」(考古学関係図書)などがあります。
また、このほか、敷田年治関係文書などの寄託・借用をうけています。さらに、平田耿二氏寄贈の「日本古代・中世史論文複写版」(明治元年~平成10年までの約15,000点)があり、本編纂所のパソコンによって検索、閲覧が可能です。
図書及び史・資料の閲覧
図書については、皇學館大学ホームページから皇學館大学図書館蔵書で検索ができます。図書の閲覧は、特に申し出があった場合に許可します。ただし、史・資料の閲覧については、事前に閲覧を希望する史・資料、来所の日時を記した許可願い(書式は任意)を研究開発推進センターセンター長あてに提出する必要があります。
なお、閲覧時間は、祝祭日をのぞいては、9時30分~12時30分、13時30分~16時30分(土曜日は12時30分まで)。