学園報第99号(令和5年2月20日発行)に掲載された150教育研究ビジョンの特集記事をご覧いただけます。
150教育研究ビジョンEducation and Research Vision
皇學館大学の歴史と伝統
皇學館大学は、明治15 年(1882)に時の神宮祭主久邇宮朝彦親王の令達によ
って、神宮の学問所である林崎文庫内に設置された「皇學館」を直接の起源とし、伊勢の神宮における神道を中心とする日本文化研究の伝統を長く継承しています。昭和 15
年(1940)には官制の公布による神宮皇學館大學となったものの、戦後、いわゆる神道指令により廃学となります。この苦難を乗り越え、昭和37年(1962)に再興、令和14年(2032)には創立150 周年を迎えることになります。
我が国の歴史と伝統とに基づく文化を究明し、洋の東西に通ずる道義の確立を図り、祖国愛の精神を教育培養するとともに、社会有為の人材を育成することが使命です。
皇學館大学 150 教育研究ビジョン
1. 私たちに課せられた使命と人材育成
本学で学ぶ人材の特徴は、神道精神に基づく高い倫理観と寛容な精神を備えつつ、我が国の歴史と伝統・文化を深く理解する基礎的な教養を持つことです。
そして、社会において必要とされる知識や技能といったリテラシーのみならず、主体的に考え、自ら積極的に行動し、高いコミュニケーション能力により他者と協働するというコンピテンシーを兼ね備えた人材の育成をめざします。
2. Society 5.0 と2040 グランドデザイン
Society 5.0 の成熟した情報社会が到来しつつあります。IoT(Internet of
Things)による諸課題の克服と多様性を互いが認め合うことをめざしています。
「2040年 に向けた高等教育のグランドデザイン」による「基礎的で普遍的な知識・理解と汎用的な技能を持ち、自律的に責任ある行動をとれる人材」をめざし、成熟した情報社会の恩恵を享受しつつも実習、アクティブ・ラーニング及び、実践的経験に基づいて将来学生たちが社会に求められる人間像を実現できる教育を提供します。
3. 人材育成のための施策
求められている人材育成の実現のためには、不断の教育改革が必要です。常に自己点検・評価の上に省察を繰り返し、高等教育において一歩進んだ大学の実現に取組みます。
このために、数理・データサイエンスなどの文理横断・文理融合教育や地域志向に係る教育、グローバル人材、デジタル人材の養成に係る教育を行っていきます。
●数理・データサイエンス・AI教育プログラム
https://www.kogakkan-u.ac.jp/support/ai.php●CLL活動(Community Learning Labo)
https://www.kogakkan-u.ac.jp/cooperation/cll/●グローバル人材育成プログラム
https://www.kogakkan-u.ac.jp/international/global.php4. 推進すべき特色ある研究
創設以来の本学の存在価値の一つは、日本文化に関する研究拠点であり続けたことです。その豊かな研究資源の蓄積を活用し、今後も「神宮並びに神道研究」、「日本古典の研究」を常に推進していきます。更には地域社会への貢献のための「地域課題の解決を目的とした研究」や、今、本学に大きな期待が寄せられている「教育学研究」は他をリードする分野として、今後、深く考究され、発信を続けていきます。
5. 中高大接続と多様な主体との連携
人材育成は、人の成長・発達と密接に関わっています。中学校・高等学校の中等教育段階の学習内容の背景にある学術的成果を大学が提供することにより学習内容の定着に大きく貢献できます。このことから、更なる中高大接続を推進します。
また、自治体や他大学をはじめ、学外の多様な主体との連携を図ることにより、伊勢志摩の地で学生の学びの場の拡大、生涯にわたって学び続ける力の伸長をめざします。更に、あらゆる人々に、学び直しの場を提供します。
6. 組織・運営基盤の強化
学長によるガバナンス体制により、ビジョンの実現に向けて具体的取組を計画的に推進するため、中期行動計画を策定します。達成度を常に点検・評価するとともに、目標達成に向けた全学的な改善活動(PDCA)を推進します。
教育研究の充実発展のため、「学校法人皇學館150 経営計画」を踏まえ、財政基盤の安定及び健全な財政運営を図ります。